C4D ベクターモーションブラー
C4Dのモーションブラーには2種類あり、1つはシーンモーションブラー、もう1つはベクターモーションブラーです。
シーンモーションブラーは、1フレームを時間的に細分割し枚数を増やして最後に1枚に合成する。
レンダリング枚数が増える分、比例的にレンダリング時間が増します。
一方ベクターモーションブラーは、ポリゴンの見かけの移動したベクトルを元に2次元的にブラーを施します。
少し時間はかかりますが、画像処理のためシーンモーションブラーより断然速くブラーが掛けられます。
シーンモーションブラーは、以前にも取り上げたので過去の記事を参照してください。
モーションブラー単体の記事ではありませんが…
ベクターモーションブラーは、シーンモーションブラーでのレンダリング時間の浪費を避けるために開発された技術で…嘘か本当かわかりませんが…
ベクターと言うのだから、ベクトルを使ってブラーを施すのですが…
C4Dでは、
シーン全体にブラーをかけるなら、シーンモーションブラー。
特定のオブジェクトにかけるなら、ベクターモーションブラー。
と言う切り分けだろうか…
詳しくはヘルプを参照してください。
いつもの記事の様に、役に立たないネタなのでゴメンなさい…
基本的な使い方は…
ブラーをかけたいオブジェクトに「モーションブラー」タグを取り付けて…
もちろんアニメーション設定…キーフレーム等の設定をしていないオブジェクトに取り付けても無意味ですが…
ま、そんな事は無いですけどね…オブジェクトが動いていなくてもカメラが動いて、投影スクリン上でオブジェクトが動いていればブラーはかかります。
レンダリング設定の特殊効果:「ベクターモーションブラー」を設定します。
これで、レンダリングするだけですが…
ポストエフェクトなので、「ビューをレンダリング」しても適用はされません。
「画像表示にレンダリング」をしないと効果はわかりません。
ベクターモーションブラーの設定箇所は、先ほどの2箇所…
「モーションブラー」タグです。
もうひとつは、レンダリング設定の「ベクターモーションブラー」です。
シャッター開度と言うのは、知っていると思うけど…
円盤状のシャッターが1フレームで1回転する…
シャッター開度が180度という事は、半円形のシャッターという事だ。
シャッターが閉じているときに、フィルムを送る仕組みになっている…
実際に見た事は無いけど…
イメージ的にはこんな具合…こんなに遅くはないけどね…
シャッターの回転方向は…知りません。
厳密的には違って…
シャッターは鏡面で軸が45度に傾います。
シャッターが閉じている間は、画像がファインダーの方に反射され、カメラマンがその映像を見ているわけだ…
ま、C4Dの中に回転するシャッターがあるわけではないので、イメージとして捉えてほしい…
設定するパラメータの詳しい意味は、ヘルプを参照してください。
ここでは、簡単な説明だけです。
まずは…
レンダリング設定の「ベクターモーションブラー」から。
シャッター開度…
もう説明するほどではないですが、シャッターの切り込みの角度ということです。
180°開いているというのは、0.5フレームの間シャッターが開いているということです。
別に回転するシャッターがC4Dに内蔵されているわけではないので、開放率50%とかの表記でも良いのではないかと思うんだけど…
360°でシャッターが100%開きっぱなしの状態になります。
実際のカメラでは物理的に無理なのですが、360°以上開く事も可能で上限が1080°と…
360°以上の大きい数値は、あまり意味が無いと思うけど…
シャッターが開いている時間は、レンダリング設定の「シャッター開度」とモーションブラータグの「強度」が関係しています。
シャッターが開いている時間 = シャッター開度 × 強度
これが、シャッター開度:180°強度:100%だとします。
シャッター開度:180°強度:50%の場合…ブラーの長さが短くなります。
シャッター開度:90°強度:100%の場合だと…
画面上の位置が若干変わりますが、ブラーの掛かり具合が同じになります。
画面上の位置が変わるのは、シャッターの開くタイミングが変わるためです。
シャッターが開いている時間が長いと、オブジェクトが尾を引く長さが長くなると言う事です。
レンダリング設定の「偏り」は、本像の進行方向に出るか、それとも後方に出るかと言う事です。
「偏り」0%では、本像を中心に前方と後方に出ます。
「偏り」が、+値だと進行方向寄りに出ます。
-値だと後方寄りに出ます。
「濃度」は、ブラーの濃さです。
上図が100%です。
下図が30%です。数値が低くなると薄くなります。
「サンプル数」は、少ない値はノイジーです。
上図が32…
下図が上限の1000です。サンプル数が多くなるときれいになりますが、処理に若干時間がかかります。
サンプル半径は、大きいとブラーが全体的にぼけた感じになります。
上図が10…
下図が0です。数値が低いとシャープになりますが、エリアシングが目立ってきます。
ここまでは、ヘルプを読むとわかると思います。
「周辺部を薄く」「デフォーマを考慮」は、飛ばします。
モーションブラーという物は…
シャッターが開いている間、動きのあるものがブレてフィルムに記録される事ですよね…
シャッターの開くタイミングがあります。
1フレーム毎のタイムスケールです。
例えば…
シャッター開度:180°
タグの強度:100%
偏り:0%
フレーム毎にシャッターを開く:On
この場合…
ピンク色の帯の長さがシャッターの開いている長さです。
180°なので、フレームの半分が開いた状態です。
「フレーム毎にシャッターを開く」がOnなので、フレームの先頭からシャッターが開きます。
オブジェクトの本像は、開いている時間の真ん中(赤い三角の位置)にできます。
この状態で、モーションブラータグの強度を50%にすると…
この様なタイミングで開きます。
開いている時間は、説明の通り90°と同じ長さになります。
タグの強度値を変更しても本像の位置は、変わりません。
強度が100%で、開度を90°にすると、下のようになります。
「フレーム毎にシャッターを開く」がOnなので、本像の位置が変わります。
では、「フレーム毎にシャッターを開く」がOffになると…?
フレーム位置を中心にシャッターを開きます。
シャッターを開くタイミングが問題になるのは、他の3Dソフトで作った画像を交えてコンポジット作業をするときに影響が出るかもしれませんし…
もう少し違う角度から…
例えば、1フレーム毎に90°回転しながら移動するオブジェクトでベクターモーションブラーを説明しよう。
設定は、シャッター開度:180°、強度:100%、偏り:0%、フレーム毎にシャッターを開く:Onと言う設定です。
これは、1フレーム毎のパスです。
フレーム間は直線補間されているわけではありません。
キーフレームのスプライン/リニア/ステップ等で状況は変わります。
点線がフレーム間の補間です。
では、先ほどと同じように、シャッターが開いている間のピンクの線で記します。
フレーム毎にシャッターを開く:Onなので、フレームの先頭から、シャッター開度180°なので次のフレームの真ん中までシャッターが開いた状態になります。
ベクターモーションブラーを適用した、オブジェクトの本像は、ピンクの線の真ん中に来ます。
開度が180°なので時間が1/4フレーム進んだ事になり回転度合いも少し進みます。
この場合、先ほどより概ね22.5°傾きます。
では、1フレームだけ注目します。
次に、前のフレームの本像と現フレームの本像の位置を通る直線を記します。
この直線上にブラーができます。フレーム間曲線補間上にブラーが施されるわけではないのです。
ブラーの長さですが、前フレームと現フレームとの距離が元になります。
シャッター開度が180°なので、このベクトルの1/2がブラーの長さとなり、偏りが0%なので、現フレームの本像を中心に配置します。
これが、ベクターモーションブラーの位置と方向と長さになります。
実際にブラーを表示します。
ブラーの位置は直線補間されますが、スケールや回転がかかっているので、縁は曲線になる事が多いでしょう…
ブラーの回転の構成は、大よその数値です。回転補間法によって変わってきます。
この事から、ベクターモーションブラーはオブジェクトの軸を基準に前フレームと現フレームの本像位置からのベクトルを基準に作られる事がわかります。
それから、シャッター開度を単純に360°に設定してもブラーが前のフレームのブラーと繋がるとは言えない事は想像が付くと思います。
ただし、偏りを-100%にすると、前のフレームとつながります。
このベクターモーションブラーは、軸の移動ベクトルを基準にしているので、気を付けなければならない事があります。
それは、プロペラ等の回転するオブジェクトです。
右が、シャフトと羽の軸が回転軸の中心にあります。
左は、シャフトの軸は回転軸の中心にありますが、羽の軸は回転軸にはなく、羽の中心にあります。
これにベクターモーションブラーをかけると、次の様になります。
結果は意図しないブラーが生成されました。
もう説明しなくてもお分かりだと思います。
右は、回転のみのベクターモーションブラーなので綺麗に円弧を描いています。
左は、シャフトの周りを羽が角度を変えながら移動している事と同じです。
回転のベクターモーションブラーの場合は、シャッター開度を360°にすると前のフレームのモーションブラーにつながります。
今回の記事を踏まえれば、綺麗なベクターモーションブラーが掛けられるようになれるでしょう…
あまり関係ないですかね…
ま、頭の片隅にでも…
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